【決算分析】学究社2021.3期

学究社

基本情報

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仮説検証

学究社の2021.3期決算発表を踏まえ、仮説検証する。

【仮説】(2020.3期時点)

前提:校舎数、合格実績の堅調増加による業績拡大
2021.3期EPS予想レンジ 88.5 ~ 110.7

【検証】(2021.3期時点)

2021.3期EPS(実績) 100.6
予想平均値からの乖離率 +1%

<ほぼ予想通りの理由>
売上は想定以下だったが、大幅コスト削減で営業増益。
①売上高はコロナ対応(映像授業導入)に加え校舎増で3.4%増 (予想:+4~6%)
②粗利率は改善(32.2%→32.6%)
③販売管理費は2,026M→1,813M(△213M)に抑制。 (予想:+210~230M)
→広告宣伝費-67M、給料手当-57Mなど
 
≪参考≫2020.3期 2021.3期増加率
校舎数2332340.4%

決算概要

【BS】貸借対照表


規模
4,203M→9,700Mと、12年前比2.3倍。
資産
・有形固定資産が最も多い。直近は現預金増加。
負債・純資産
・自己資本比率は低下。

【PL】損益計算書


収入
・校舎数の堅調増加により売上高は12年前比1.6倍になった。
支出
・売上原価は+49%。販管費は+52%。利益率上昇。
・広告宣伝費は△24%。
・単体人件費は2.2倍(平均臨時雇用人員:1,357→1,780で1.3倍)。

【CF】キャッシュフロー計算書


 (比較対象)

イン 税引前当期純利益、長期借入金が多くを占める。
アウト 法人税等、有形固定資産、配当が多くを占める。

定量分析①(過去の収益性)

 
収益力は、コロナ禍でもコスト適正化することで大きく改善。(短信では広告宣伝費、地代家賃、人件費あたり)

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)


投資負担はおおよそ営業CFの範囲内。(当期は賃貸不動産取得なし)

会計発生高



会計発生高はマイナスで安定。

ROA


ROAは直近回復。
営業利益(率)は堅調で、総資本回転率も底打ち。
→2020.3期は賃貸不動産増加による有形固定資産回転率低下。

定性分析

市場の成長性が説明できるか

・教育産業全体市場規模推移(主要15分野計、矢野経済研究所)
2016年度の26,926億円から2019年度の 27,747 億円に増加
→年率(3年) 1.0% 成長

競争優位性が説明できるか

・全都立中高一貫校11校合格実績
 2019.3=771
 2020.3=823
 2021.3=927

・全都立中高一貫校10校合格占有率
 2019.3=50%
 2020.3=51%
 2021.3=55%

その会社の成長サイクルが説明できるか

・合格実績の積み上げによる、広告宣伝費のカット
 2019.3=459M
 2020.3=364M
 2021.3=297M

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。 以下の通り、優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高総利益率40%20%33%
売上高営業利益率20%10%16%
売上高当期純利益率10%5%10%
ROA(営業利益ベース)10%5%19%
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス大体プラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナス安定してマイナス
ROA上昇維持上昇
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるかできない
競争優位性が説明できるか少しできる
その会社の成長サイクルが説明できるか少しできる

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