【決算分析】三協フロンテア(ナガワ)2021.3期

三協フロンテア

基本情報

<三協フロンテア>
仮設ハウスのレンタル、販売でトップ級。仮設より大規模な本建築拡充。中期配当性向35%メド(ヤフーファイナンス)



<ナガワ>
ユニットハウス大手。大型倉庫等システム建築拡充。タイ等アジア展開。総還元性向30%超メド(ヤフーファイナンス)

仮説検証

三協フロンテア(ナガワ)の2021.3期決算発表を踏まえ、仮説検証する。

【仮説】(2020.3期時点)

<三協フロンテア>
前提:レンタル資産の増加に伴う収益拡大。
2021.3期EPS予想レンジ 419.2 ~ 526.5

<ナガワ>
前提:レンタル資産の増加に伴う収益拡大。
2021.3期EPS予想レンジ 111.4 ~ 150.3

【検証】(2021.3期時点)

<三協フロンテア>
2021.3期EPS(実績) 460.9
予想平均値からの乖離率 -3%

<下方乖離の理由>
①売上高はKPI堅調増加の結果、5.3%増収。 (予想:+6~10%)
②粗利率(≒変動費率)は変動なし(42%→43%)
③販売管理費は12,030M→12,625M(+595M)に抑制。 (予想:+900~1,100M)
→人件費(+230M、予+450-550M)、減価償却費(+124M、予+450-550M)が予想比抑制された。

 

 ≪指標≫2020.3期2021.3期 
レンタル資産純額(M)24,32724,244-0.3%
レンタル資産額面(M)47,09448,0041.9%

 

<ナガワ>
2021.3期EPS(実績) 194.9
予想平均値からの乖離率 +49%

<上方乖離の理由>
①売上高はKPI堅調増加の結果、1.3%増収。 (予想:+0~2%)
②粗利率(=変動費率)は上昇(38%→41%)
→レンタル稼働率向上などにより採算改善。
③販売管理費は7,498M→7,649M(+151M)と想定超。 (予想:-70~+70M)
→人件費(+222M、予80-120M)、減価償却費(△3M、予△150-△50M)、運送費(+105M、予増減なし)

 

 ≪指標≫2020.3期2021.3期 
貸与資産純額(M)7,8668,4337.2%
貸与資産額面(M)31,32830,949-1.2%

決算概要

【BS】貸借対照表


<三協フロンテア>
規模
26,794M→64,328Mと、12年前比2.4倍。
資産
・有形固定資産(レンタル資産が過半)が最も多い。
負債・純資産
・自己資本比率は12年前並み。


<ナガワ>
規模
32,328M→53,408Mと、12年前比1.7倍。
資産
・現預金、売上債権、有形固定資産(レンタル資産が半分)、投資有価証券と、分散されている。
負債・純資産
・自己資本比率は12年前より高い。


【PL】損益計算書

<三協フロンテア>
収入
・レンタル資産の堅調増加により、売上高は12年前比2.9倍になった。
支出
・売上原価は2.7倍。販管費は2.4倍。営業利益率上昇。
・給与・賞与は2.2倍(正社員+平均臨時雇用人員:579→1,544で2.7倍)。
・運賃諸掛は3.7倍となったが、減価償却費2.2倍、賃借料2.2倍にとどめている。


<ナガワ>
収入
・レンタル資産の堅調増加により、売上高は12年前比1.4倍になった。
支出
・売上原価は1.3倍。販管費は1.1倍。営業利益率上昇。
・給与・賞与は1.3倍(正社員+平均臨時雇用人員:486→515で1.1倍)。
・運賃諸掛は1.2倍、減価償却費0.9倍、賃借料同程度にとどめている。

【CF】キャッシュフロー計算書



<三協フロンテア>
イン 税引前当期純利益、減価償却費が多くを占める。
アウト 棚卸資産(減価償却費程度)、法人税等、借入金が多くを占める。


<ナガワ>
イン 税引前当期純利益、減価償却費が多くを占める。
アウト 貸与資産(直近で減少)、投資有価証券が多くを占める。

定量分析①(過去の収益性)

<三協フロンテア>
収益力は直近も上昇。

<ナガワ>

直近で収益力回復し2018.3期くらいの水準に。

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)

<三協フロンテア>

近年の投資負担は営業CFの範囲内。

<ナガワ>

投資負担は資産規模を加味しても三協フロンテアより少ない。

会計発生高

<三協フロンテア>
 
会計発生高は、棚卸資産増加が少ないためマイナスへ。

<ナガワ>

ゼロ近辺なので問題なし。

ROA

<三協フロンテア>
 
・ROAは上昇傾向。
→売上高営業利益率、総資本回転率ともに上昇基調。

・レンタル資産の総額が増加している一方、償却後の純額は変わらない
=償却額程度の投資。
→純額は増えていないが、レンタル資産の数は増え稼ぐ力が増えていると思われる。

・減価償却資産の減価償却の方法は以下の通り。ナガワの方が平均的な耐用年数が短いと思われる。
◆三協フロンテア

◆ナガワ
結果、「減価償却累計額/レンタル資産」はナガワは73%、三協フロンテアが48%。
→ナガワの方が早く償却する分、資産効率が良く見えるだけ。
→しかも、レンタル資産の稼働率は三協フロンテア85.0%(2020.3)、ナガワ67.1%(2021.3)

<ナガワ>

・ROAは反発。
→売上高営業利益率改善の一方、総資本回転率が低下。
投資有価証券の増加による回転率悪化なので、利益の質の面では懸念なし。

定性分析

市場の成長性が説明できるか

五輪・首都圏再開発は一過性。長期的には海外か。

競争優位性が説明できるか

三協フロンテアはナガワと比較して、
・積極投資(ナガワは長期的に純額で減少)。
・収益性が若干勝る。
・レンタル資産が長持ちする。稼働率も高い。

その会社の成長サイクルが説明できるか

レンタル資産による安定収益を再投資
→安定収益をふやしていく意味で、やはりレンタル資産への積極投資が必要。

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。 以下の通り、優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
<三協フロンテア>
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高総利益率40%20%43%
売上高営業利益率20%10%16%
売上高当期純利益率10%5%11%
ROA(営業利益ベース)10%5%12%
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス大体プラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナス大体マイナス
ROA上昇維持上昇
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるか少しできる
競争優位性が説明できるか少しできる
その会社の成長サイクルが説明できるか少しできる

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