【決算分析】沖縄セルラー電話2021.3期

沖縄セルラー電話

基本情報

KDDI傘下の総合通信会社。沖縄県では携帯シェア5割と圧倒的。固定通信と併せて顧客開拓(ヤフーファイナンス)

仮説検証

沖縄セルラー電話の2021.3期決算発表を踏まえ、仮説検証する。

【仮説】(2020.3期時点)

前提:KPI(契約者数)の堅調増加による収益拡大
2021.3期営業利益予想レンジ 14,164M ~ 16,079M

【検証】(2021.3期時点)

2021.3期営業利益(実績) 14,450M
予想中央値からの乖離率 -4.4%

≪下方乖離の理由≫
①営業収益(電気通信+附帯)は+9.0%(実績)。 (予想:+2~4%)
→+6,140Mのうち、auでんき+3,399M、海底ケーブル+1,023Mと新規事業が牽引。
②営業利益率は19.5%に上昇(△1ポイント) (予想:21.6%)
→auでんきは利益貢献していないっぽいので、利益率低下。

≪指標≫

 2020.3期2021.3期 増減率
モバイル・純増数17,60013,200-25.0%
FTTP・純増回線数7,5006,700-10.7%

決算概要

【BS】貸借対照表

 
規模
54,794M→112,178Mと、11年前比2倍。
資産
・売掛金、関係会社短期貸付金、有形固定資産がメイン。
負債・純資産
・自己資本比率は前期比低下。

【PL】損益計算書


収入
・売上高は11年前比+62%。
支出
・施設保全費は+112%、附帯事業営業費は+80%→利益率は微減。

【CF】キャッシュフロー計算書


 (比較対象)

残高 一進一退、ストックの規模はフローの絶対値より小さい。
イン 税引前当期純利益、次いで減価償却費が多くを占めている。
アウト 売上債権、法人税等、有形固定資産、配当金支払が多くを占める。

以下の定量分析の各指標についてはこちらを参照ください。

定量分析①(過去の収益性)


収益力は一貫して競争優位基準を満たす。

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)


投資負担は営業CFの範囲内で賄えており、直近は営業CFが拡大。

会計発生高


会計発生高はマイナスで安定。

ROA


ROAは高位安定。
直近は営業利益(率)反落、総資本回転率反発。
投資(有形固定資産の増加/総資産)は毎年5~10%程度はあるため、ROAへのインパクトはそこそこある。

定性分析

以下について、こちらを参照しています。

市場の成長性が説明できるか

当面、沖縄県の人口は増加が予想され、将来のスマホユーザーである10歳未満が11パーセント、10代も11パーセントと、若年層割合も高い。

競争優位性が説明できるか

高いシェア(約5割)
・沖縄県内の有力企業の出資で作られた会社であるため、携帯電話が高価で個人ではなく企業が持つ時代、出資企業が代理店となり、グループ・取引先などへ契約を広げられた。
・最初に立ち上げたことで個人にも広がっていったが、家族割によりシェアを強固なものとした。
・さらに、他キャリアの倍くらいのauショップでアフターフォローもしている。

・どこでもつながる状況ではない頃、遠くの海まで使えるということで、「沖縄セルラーのネットワークは非常によい」と口コミが広まった。
・他のキャリアの本社は東京にあるが、東京と地方では売り方などが異なるので、沖縄県那覇市に本社があることで、マーケティングや営業手法が強みになる。

その会社の成長サイクルが説明できるか

モバイル/FTTH→ゆるやかに契約数増加・単価も微増
→その顧客基盤を活かしライフデザイン(auでんき)などをクロスセル。

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。 以下の通り、優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高営業利益率20%10%19%
売上高当期純利益率10%5%14%
ROA(営業利益ベース)10%5%13%
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス安定してプラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナス安定してマイナス
ROA上昇維持維持
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるかややできる
競争優位性が説明できるかできる
その会社の成長サイクルが説明できるかややできる

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