【決算分析】東祥2021.3期

東祥

基本情報

「ホリデイスポーツクラブ」運営。地方重点出店から都市部にも進出。ホテル、賃貸住宅も併営(ヤフーファイナンス)

仮説検証

東祥の2021.3期決算発表を踏まえ、仮説検証する。

【仮説】(2020.3期時点)

前提:会員数、部屋数の堅調増加による業績拡大(コロナ影響なくなった前提で5年後までを予想) 2021.3期EPS予想レンジ 137.6 ~ 168.0

【検証】(2021.3期時点)

2021.3期EPS(実績) 5.7
予想中央値からの乖離率 -96%

≪下方乖離の理由≫
①売上高は各セグメントへコロナ影響で稼働率など低下し48.9%減 (予想:+3~5%)
・スポーツクラブ事業:会員数減少・休館により41.1%減(店舗数は増加)
・ホテル事業:稼働率13.7ポイント減の69.0%で25.0%減(店舗数は増加)
・不動産事業:前期のような売却がなく83.1%減(棟数は増加)
②粗利率は低下(36.6%→16.3%) (予想:30.5~32.5%)
③販売管理費は2,946M→1,799M(△1,147M)に抑制。 (予想:+700~720M)

≪指標≫

 2020.3期2021.3期 増減率
スポーツクラブ店舗数941017.4%

決算概要

【BS】貸借対照表


規模
26,190M→77,100Mと、12年前比2.9倍。
資産
有形固定資産(スポーツクラブ、マンション、ホテル)が最も多い。
負債・純資産
自己資本比率は直近で低下。

【PL】損益計算書


収入
・直近でスポーツクラブ、ホテル、不動産それぞれ拠点数増加も稼働率低下し、売上高は12年前比1.6倍になった。
支出
・売上原価は1.9倍。販管費は1.8倍。利益率低下。
・販売促進費はコロナ禍で0.8倍に抑制。

【CF】キャッシュフロー計算書


(比較対象)

残高 一進一退。
イン 税引前当期純利益、減価償却費が多くを占める。→コロナ禍で税引前当期純利益減少し社債で補填。
アウト コロナ禍でも法人税等、有形固定資産が多くを占める。

以下の定量分析の各指標についてはこちらを参照ください。

定量分析①(過去の収益性)


収益力は、コロナ直撃でスポーツクラブやホテルが大幅減収減益したことで低水準となった。

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)


コロナ直撃で営業CFはマイナスに沈むも、スポーツクラブ、ホテル、賃貸不動産それぞれ拠点増加しているため投資負担は発生。

会計発生高


会計発生高は基本マイナスになるビジネスだが、コロナ営業でプラスに。

ROA


ROAは直近大幅悪化。
営業利益率、総資本回転率ともに悪化。
投資(有形固定資産の増加/総資産)は毎年5~10%程度はあるため、ROAへのインパクトはそこそこある。

定性分析

市場の成長性が説明できるか

・コロナ禍で逆風だが、健康ニーズは普遍のものとして回復・成長を予想。
(名証EXPO2019参加時のメモより)
・インストラクターは人手不足で、業界的にボトルネック。

競争優位性が説明できるか

(名証EXPO2019参加時のメモより)
・50~60代の女性・初心者がターゲットで、ジムやプールなどを総合的にそろえる。(⇔24時間営業の半無人ジム)
・自社インストラクターが多く、フロントなども兼ねているため、一人当たり人件費は高いが労働分配率低い。

その会社の成長サイクルが説明できるか

(名証EXPO2019参加時のメモより)
・競合おらず商圏の大きい場所に出店するので、全国に広く浅く展開する。特に立地面で事前準備厳格のため撤退ゼロ。(当時)赤字店舗もないらしい。→出店余地あり。
・プログラムは内製しており、誰でもできるように会員の声を反映して改良可能。
・元々建設業なので新規出店時は、建設業者に外注するものの、設計段階から関わりムダな工事費を抑制可能。
【他】
・標準的な1店舗当たり会員数は2,500人(実際はもっと多い)。単価は7,500円/月(高くない)。
・紹介制度はあるが口コミ集客は余りできていない。折込チラシ主体。ネットのターゲット広告も。
・直近4年で60人/年採用、インストラクターの半数は若手社員。

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。 以下の通り、一時的に傷ついた優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高総利益率40%20%16%×
売上高営業利益率20%10%6%×
売上高当期純利益率10%5%1%×
ROA(営業利益ベース)10%5%1%×
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス大体プラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナス大体マイナス
ROA上昇維持低下
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるかややできる
競争優位性が説明できるかややできる
その会社の成長サイクルが説明できるかややできる

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