【決算分析】アサックス2021.3期

アサックス

基本情報

居住用不動産を担保に事業性ローン提供。独特のノウハウで貸倒率低い。首都圏に店舗集中(ヤフーファイナンス)

仮説検証

アサックスの2021.3期決算発表を踏まえ、仮説検証する。 

【仮説】(2020.3期時点)

前提:営業貸付金の堅調増加による業績拡大
2021.3期EPS予想レンジ 79.2 ~ 86.0

【検証】(2021.3期時点)

2021.3期EPS(実績) 81.3
予想平均値からの乖離率 -2%

≪ほぼ的中の理由≫
2021.3(コロナ期)
・営業貸付金利息は、平均貸出利率低下の一方期中平均営業貸付金残高が前年同期比3.2%の増加となったこと等により、前年同期比121M(2.7%)の増加。(予想:+0~5%)
・その他の営業収益は、解約違約金が前年同期比28M(9.4%)減少など
◆トータルの営業収益(=トップライン)は、前年同期比+1.5%。

・金融費用は、期中平均有利子負債残高が前年同期比3.4%増加したものの、平均調達金利が低下したことで29M(9.8%)減少。→変動費率17.9%(予想:17~19%))
・その他営業費用は52M(3.6%)増加。広告宣伝費+42M、租税公課+7Mなど(予想:+12~18M)
◆トータルの営業利益は、前年同期比+1.6%。

≪指標≫
営業貸付金(M)※期末 72,267(2020.3)→ 72,205(2021.3) -0.1%
※期中平均営業貸付金残高は+3.2%

【アサックスの基礎理解】
2010.3(リーマン期)
・与信厳格化/不良債権回収注力で貸出残高12.5%減少→営業貸付金利息738M(13%)減少。
・債権回収のために販売用不動産取得/処分が増加→不動産売上高680M(108.6%)増加(不動産売上原価も568M(85.8%)増加)
・その他、融資条件改訂により手数料収入が97M(34.6%)増加
◆トータルの営業収益(=トップライン)は、前年同期比+0.5%。
・貸倒引当金繰入は2009.3期411M→2010.3期108Mに減少
◆トータルの営業利益は、前年同期比+2.2%。

2020.3(コロナは2020.2くらいから)
・期中の大半が平常時。残高増えるも、貸出利率は下がる。不動産売上高は皆無。

決算概要

【BS】貸借対照表

規模
48,817M→78,825Mと、11年前比1.6倍。
資産
・ほぼ営業貸付金
負債・純資産
・自己資本比率は上昇。

【PL】損益計算書

収入
・営業貸付残高増加も貸出利率低下により、売上高は11年前比0.86倍になった。
支出
・金融費用+売上原価は0.14倍。その他の営業費用は0.98倍。利益率上昇。
・広告宣伝費2.17倍、租税公課1.34倍。一方、役員報酬は0.66倍、貸倒引当金繰入はなくなった。

【CF】キャッシュフロー計算書


(比較対象)

残高
一進一退。
イン
税引前当期純利益が多くを占める。
アウト
法人税、配当金が多くを占める。

その他
リーマン期は営業貸付金減→借入金減
2020.3期のような平時は営業貸付金増→借入金増の両建て
コロナ禍の2021.3期はその中間なのか、営業貸付金はニュートラル。

以下の定量分析の各指標についてはこちらを参照ください。

定量分析①(過去の収益性)

収益力は、一貫して競争優位水準を満たす。

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)

 
投資負担はほぼ皆無のレベルだが、営業貸付金が増えると営業CFはマイナスになる。(営業CF≒FCF)

会計発生高

 
会計発生高はプラスが多いので、資産の大半を占める営業貸付金に注意が必要。

ROA

ROAは6%前後→5%前後へ。
近年は営業利益率安定、総資本回転率(≒営業貸付金回転率=貸付利率)は低迷気味。
貸付利率が低下傾向にある点で、会計操作の点では心配なし。

投資(営業貸付金の増加額ととらえる)の額は小さく、ROAへのインパクトは小さい。

定性分析

市場の成長性が説明できるか

消費者向け貸付残高(金融庁)
2015.12の50,748億円から2020.12の 59,120 億円に増加
年率(5年) 3.1% 成長

競争優位性が説明できるか

不動産担保ローンは銀行系、ノンバンク系とたくさん競合がいる。

その会社の成長サイクルが説明できるか

アサックスは一貫して「債権の健全性」を重視しており、地道に成長するイメージ。

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。
以下の通り、優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高粗利益率40%20%95%
売上高営業利益率20%10%70%
売上高当期純利益率10%5%45%
ROA(営業利益ベース)10%5%5%
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス大体プラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナスプラスが多い
ROA上昇維持低下
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるかややできる
競争優位性が説明できるかややできる
その会社の成長サイクルが説明できるかややできる

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