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理論株価計算の流れ
以下の流れで将来のEPSと妥当なPERを仮定し、最終的にEPS×PERで理論株価を求めていきます。投資するとき/売却するときの価値基準として理論株価を使用することで、メンタルに左右されない取引が可能になります。
私の理論株価計算の流れ
STEP①売上高成長率を仮定する
STEP②変動費と固定費を概算する
STEP③コストの先行きを予想する
STEP④5年後の利益を計算する
STEP⑤妥当なPERを検討する
STEP⑥5年後の理論株価を計算する
STEP⑦期待リターンを計算する
STEP②変動費と固定費を概算する
STEP③コストの先行きを予想する
STEP④5年後の利益を計算する
STEP⑤妥当なPERを検討する
STEP⑥5年後の理論株価を計算する
STEP⑦期待リターンを計算する
STEP①売上高成長率を仮定する
【(8771)イー・ギャランティ】(2021.3期)
成長余地 | 売上債権200兆円のうち40兆円程度 | 【現状】4,822億円 |
ストックKPI成長率 | 保証残高 | 【現状】+15.4%(11年平均成長率) |
今後の売上高を「保証料率」と「保証残高」に分解して仮定します。
【共通】
・保証料率(少しずつ低下の予想)
2021.3=売上高/保証残高=7,194M/482,200M=1.5%
2022.3=1.5%
2023.3-2024.3=1.4%
2025.3-2026.3=1.3%
【良シナリオ】
・保証残高
①2022.3は20%成長
②以降15%成長を維持
【悪シナリオ】
・保証残高
①2022.3は15%成長
②以降13%成長より0.5ポイントずつ伸び率低下
具体的な売上高推移は以下の通りと仮定しました。
保証料率 | 保証残高良 | 保証残高悪 | 売上高良 | 売上高悪 | |
2021.3 | 1.5% | 482,200M | 482,200M | 7,194M | 7,194M |
2022.3 | 1.5% | 578,640M | 554,530M | 8,680M | 8,318M |
2023.3 | 1.4% | 665,436M | 626,619M | 9,316M | 8,773M |
2024.3 | 1.4% | 765,251M | 704,946M | 10,714M | 9,869M |
2025.3 | 1.3% | 880,039M | 789,540M | 11,441M | 10,264M |
2026.3 | 1.3% | 1,012,045M | 880,337M | 13,157M | 11,444M |
売上高平均成長率は
【良シナリオ】13%
【悪シナリオ】10%
STEP②変動費と固定費を概算する
上記2020.3期より、
売上原価=変動費
販管費=固定費
と単純化して考える。
変動費と固定費に分類する
以下のように分類しました。
【変動費】1,816M
→売上高7,194Mなので変動費率25.0%
→売上高7,194Mなので変動費率25.0%
【固定費】2,289M
販売費及び一般管理費ー変動費
販売費及び一般管理費ー変動費
STEP③コストの先行きを予想する
【変動費率】
2021.3期の25%を基準に以下のように仮定します。
良シナリオ
・支払保証料率は緩やかに低下
→23%、22%、21%、20%、19%
悪シナリオ
・支払保証料率は高止まり
→27%
2021.3期の25%を基準に以下のように仮定します。
良シナリオ
・支払保証料率は緩やかに低下
→23%、22%、21%、20%、19%
悪シナリオ
・支払保証料率は高止まり
→27%
【固定費】
2021.3期の従業員数は161人で営業人員を50%増やす方針。
・半分の80人が営業と仮定。
→2022.3期で30-40人増え、それ以降は分からないので、15-20人ずつ増えると仮定。
・1人あたり人件費7Mと仮定
↓
2022.3期:固定費210~280M/年増加
2023-6.3期:固定費105~140M/年増加
2021.3期の従業員数は161人で営業人員を50%増やす方針。
・半分の80人が営業と仮定。
→2022.3期で30-40人増え、それ以降は分からないので、15-20人ずつ増えると仮定。
・1人あたり人件費7Mと仮定
↓
2022.3期:固定費210~280M/年増加
2023-6.3期:固定費105~140M/年増加
STEP④5年後の利益を計算する
【前提条件】(ここまでの整理)
・STEP①売上高成長率
2021.3:7,194M(連結)
2022.3~2026.3:11,444~13,157M・STEP③コストの先行き
変動費率
・良シナリオ:23%、22%、21%、20%、19%
・悪シナリオ:27%
固定費
2021.3:2,289M
2026.3:2,919~3,129M
営業利益
2021.3:3,088M
2026.3:5,435~7,528M
・STEP①売上高成長率
2021.3:7,194M(連結)
2022.3~2026.3:11,444~13,157M・STEP③コストの先行き
変動費率
・良シナリオ:23%、22%、21%、20%、19%
・悪シナリオ:27%
固定費
2021.3:2,289M
2026.3:2,919~3,129M
営業利益
2021.3:3,088M
2026.3:5,435~7,528M
簡略化し、営業利益の増加と比例してEPSが増加すると考えます。
2021.3EPS 48.1(営業利益3,088M)
2026.3EPS 84.7~117.3 (営業利益5,435~7,528M)
2026.3EPS 84.7~117.3 (営業利益5,435~7,528M)
STEP⑤妥当なPERを検討する
以下グラフの見方
・株価:2007.12=1
・EPS:2007.12=1
・PER:2021.3のPER=2021.3株価/2021.3予想EPS
過去平均PERは30倍となり、これを妥当な水準と考えます。
STEP⑥5年後の株価を計算する
STEP④5年後利益→2026.3EPS 84.7~117.3
STEP⑤妥当なPER→30
↓
5年後株価:2,543~3,591円
STEP⑤妥当なPER→30
↓
5年後株価:2,543~3,591円
STEP⑦期待リターンを計算する
2021年6月11日終値2,262円を基準とすると、
・(3,591/2,262)^(1/5)-1=9.7%
・(2,543/2,262)^(1/5)-1=2.4%
※「^(1/5)」は年率何%成長かを求める計算です。
・(3,591/2,262)^(1/5)-1=9.7%
・(2,543/2,262)^(1/5)-1=2.4%
※「^(1/5)」は年率何%成長かを求める計算です。
まとめ
結局上記の計算の場合、現在の株価2,262円で投資すると、5年後の理論株価は2,543~3,591円になり、年率の期待リターンでは2.4~9.7%になることが導かれました。
しかし、売上高成長率をもっと高めに設定したり、コスト構造を再検討することで、違った結論になります。
ここの「微妙な調整」は、仮説検証を繰り返す中で少しずつ精度を高めていく必要があります。
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