【決算分析】アドバンテッジリスクマネジメント2021.3期

アドバンテッジリスクマネジメント

基本情報

ストレスチェック関連ビジネス首位級。団体長期障害所得補償保険(GLTD)販売も手がける(ヤフーファイナンス)

仮説検証

アドバンテッジリスクマネジメントの2021.3期決算発表を踏まえ、仮説検証する。

【仮説】(2020.3期時点)

前提:契約者数の堅調増加による業績拡大
2021.3期EPS予想レンジ 38.4 ~ 45.4

【検証】(2021.3期時点)

2021.3期EPS(実績) 29.3
予想平均値からの乖離率 -30%

≪下方乖離の理由≫ 
①売上高はKPI堅調増加も、3.6%増収にとどまる。 (予想:+6~7%)
②粗利率は変動なし(78%→78%)
③販売管理費は3,146M→3,529M(+383M)。 (予想:+190~210M)

≪参考≫2020.3期 2021.3期増加率
契約者数(千人)3,3993,5434.2%

【BS】貸借対照表決算概要


規模
2,676M→5,865Mと、8年前比2.2倍。
資産
・現預金が最も多い。ソフトウェア開発投資により無形固定資産が増加。
負債・純資産
・自己資本比率は上昇傾向。

【PL】損益計算書

 
収入
・売上高は8年前比2.1倍になった。
支出
・売上原価も2.1倍。販管費も2.1倍。営業利益率は横ばい。
・給料・手当は2.4倍(正社員+平均臨時雇用人員:191人→384人で2倍)、賞与引当金は3.1倍。
・業務委託費は2.6倍。
・役員報酬は1.1倍、のれん償却額は0.86倍。

【CF】キャッシュフロー計算書


(比較対象)

 
イン 税引前当期純利益、減価償却費が多くを占める。
アウト 法人税等が多く、最近は無形固定資産、配当。

定量分析①(過去の収益性)


収益力は高水準だが、先行投資がある。

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)


直近で投資負担が増えたがほぼほぼ営業CFの範囲内。

会計発生高


会計発生高はマイナスで安定。

ROA


ROAは低下中。
総資本回転率はソフトウェア関係の増加分低下、営業利益(率)も先行投資で減少。
→利益の質に問題なし。

定性分析

市場の成長性が説明できるか

・メンタルヘルスサービスの国内市場(富士経済)
2017年の124億円から、2022年の 176 億円に増加
→年率(5年) 7.3% 成長



・「働き方改革」「健康経営」の広がり

競争優位性が説明できるか

・企業のメンタルヘルス管理を軸とした事業を展開するメンタルヘルス業界唯一の上場企業。
・EAP(従業員支援プログラム)で300万人を超える導入実績があり国内トップシェアを誇るほか、総合健康経営(メンタルヘルス&フィジカルヘルス)や、組織、個人の双方をサポートするワンストップサービスが強み。



(有報より)
・メンタリティマネジメント事業:労働安全衛生法の一部改正によるストレスチェック義務化を契機として新規参入企業が増加
→トップシェア企業としての強みを活かした事業展開を図ることにより、サービスレベルや専門性の点で優位性を確保
・就業障がい者支援事業:他社に先行してGLTDに付随するサービスの開発に取り組み、また、マーケットを保有する保険会社や事業会社との提携を推進してきたため、サービスレベルや専門性の点で優位性を確保

その会社の成長サイクルが説明できるか

(有報より)
・市場ニーズに対応した新商品投入により差別性確保
・営業:外部チャネルの活用、セミナーの開催
→取り立てて特徴なし?

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。 以下の通り、一時的に傷ついた優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高総利益率40%20%78%
売上高営業利益率20%10%13%
売上高当期純利益率10%5%9%
ROA(営業利益ベース)10%5%12%
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス大体プラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナス安定してマイナス
ROA上昇維持低下
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるかややできる
競争優位性が説明できるかあまりできない
その会社の成長サイクルが説明できるかできない

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