【決算分析】ウェルビー(LITALICO)2021.3期

LITALICO

基本情報

<ウェルビー> 就労希望障害者への職業訓練や求職活動・職場定着支援が柱。障害児の発達支援行う療育事業も(ヤフーファイナンス)



<LITALICO> 障害者支援と福祉施設向けのプラットフォーム事業が2本柱。21年4月にテクニカル上場(ヤフーファイナンス)

仮説検証

2021.3期決算発表を踏まえ、仮説検証する。

【仮説】(2020.3期時点)

<ウェルビー> 前提:利用者数の堅調増加による業績拡大
2021.3期EPS予想レンジ 40.8 ~ 42.7

<LITALICO> 前提:利用者数の堅調増加による業績拡大
2021.3期EPS予想レンジ 43.0 ~ 51.1

【検証】(2021.3期時点)

<ウェルビー>
2021.3期EPS(実績) 53.9
予想平均値からの乖離率 +29%

<上方乖離の理由>
以下①~③の通り、増収が想定超。
①売上高は拠点数増加に加え、稼働率や単価の上昇により+18.9% (予想:+11~13%)
②粗利率は(40%→39%)
③販売管理費は984M→1,144M(+160M)と予想は超過。 (予想:+100~140M)
→租税公課+64M、支払手数料+40M、広告宣伝費+30M、人件費+21M

 

≪参考≫2020.3期 2021.3期増加率
拠点数112126+12.5%

 


<LITALICO>
2021.3期EPS(実績) 39.6
予想平均値からの乖離率 -16%

<下方乖離の理由>
以下①~③の通り、プラットフォーム事業などの増収が想定超。
①売上高は拠点数増加に加え、プラットフォーム事業伸長により+16.3% (予想:+8~10%)
②粗利率は(38%→36%)
③販売管理費は4,258M→4,192M(△66M)に抑制。 (予想:+265~315M)
→人件費△192Mなど

≪参考≫2020.3期 2021.3期増加率
拠点数210231+10.0%

決算概要

【BS】貸借対照表

 
<ウェルビー>
規模
1,718M→5,473Mと、4年前比3.2倍。
資産
・現預金が最も多い。
負債・純資産
・自己資本比率は上昇。

<LITALICO>
規模
4,143M→10,453Mと、4年前比2.5倍。
資産
・無形固定資産、投資その他資産の割合が上昇。
負債・純資産
・自己資本比率は上昇。

【PL】損益計算書


<ウェルビー>
収入
・拠点数、就職者数の堅調増加により、売上高は4年前比2.9倍になった。
支出
・売上原価は2.9倍。販管費は2.0倍。営業利益率上昇。
・人件費は1.7倍強(正社員+平均臨時雇用人員:397→934で2.4倍)。
・租税公課は4.0倍、支払手数料は2.7倍となったが、広告宣伝費は1.8倍にとどめている。

<LITALICO>
収入
・拠点数、就職者数の堅調増加により、売上高は4年前比1.9倍。今後はプラットフォーム事業が牽引か。
支出
・売上原価は1.9倍。販管費は1.6倍。営業利益率上昇。
・人件費は1.3倍(正社員+平均臨時雇用人員:1625→2587で1.6倍)。
・広告宣伝費は3.3倍と膨張。

【CF】キャッシュフロー計算書

 
<ウェルビー>
イン 税引前当期純利益中心。
アウト 長期借入金を完済し、法人税等、有形固定資産、配当金メイン。



<LITALICO>
イン 税引前当期純利益、減価償却費が多くを占める。
アウト 有形固定資産、子会社株式取得が多くを占める。


定量分析①(過去の収益性)


<ウェルビー>
収益力を維持しつつ、2割弱の増収増益。2022.3期は1割強の増収。


<LITALICO>
LITALICOプラットフォーム事業の通期黒字化もあり特に利益率改善。2022.3期もさらに良化。

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)


<ウェルビー> 
投資負担は拡大基調の営業CFの範囲内。



<LITALICO>
福祉ソフト株式会社の株式取得、有形/無形固定資産取得など重なり、投資負担が先行。

会計発生高


<ウェルビー> 
会計発生高は、賞与引当金減少・法人税支払額増加によりプラスへ。


<LITALICO>
ほとんどマイナスで安定。

ROA


<ウェルビー> 
ROAは高位安定。
→売上高営業利益率は高位安定、総資本回転率は平均的。
2018.3総資本回転率低下は、上場時の現預金の増加によるものなので問題なし。



<LITALICO>
ROAは反発。
→売上高営業利益率の改善が大きく寄与、総資本回転率も反発。
2017.3をピークに、現預金や投資有価証券の回転率が悪化していたが、2021.3期のMAなどで有効活用。

定性分析

市場の成長性が説明できるか

<ウェルビー> 
・2018年4月より障害者の法定雇用率は2.2%に引き上げられ、さらに2021年3月に2.3%に引き上げ
→雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高更新

競争優位性が説明できるか

<ウェルビー> 
・業界トップレベルの就業者数と定着率
→高水準の基本報酬
→利益率
・採用力/社内育成力(下記)

その会社の成長サイクルが説明できるか

<ウェルビー> 
・採用力/社内育成力
→サービス管理責任者/児童発達管理責任者を確保
 →拠点ごとの配置義務を満たすことで継続的な拠点増が可能
  ※転職市場での採用は困難なため、参入障壁に
 →業績拡大
→有資格者(理学療法士など)を確保
 →療育事業での報酬単価増加へ
 →利益率

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。 以下の通り、優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
<ウェルビー> 
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高総利益率40%20%39%
売上高営業利益率20%10%25%
売上高当期純利益率10%5%19%
ROA(営業利益ベース)10%5%37%
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス安定してプラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナス大体プラス×
ROA上昇維持維持
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるか少しできる
競争優位性が説明できるか少しできる
その会社の成長サイクルが説明できるか少しできる

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