【決算分析】東京個別指導学院2021.2期

東京個別指導学院

基本情報

ベネッセHD傘下。小中高生向け個別指導塾を直営で首都圏軸に展開。文章、科学教室も拡大中(ヤフーファイナンス)

仮説検証

東京個別指導学院の2021.2期決算発表を踏まえ、仮説検証する。

【仮説】(2020.2期時点)

前提:期中平均生徒数、教室数の堅調増加。
2021.2期EPS予想レンジ 31.9 ~ 37.0

【検証】(2021.2期時点)

2021.2期EPS(実績) 4.7
予想中央値からの乖離率 -86%

≪下方乖離の理由≫
①売上高は請求停止や生徒数減少の結果、10%減収。 (予想:+3~7%)
②変動費率は上昇。(4.8%→5.1%)(予想:+4~6%)
③固定費は17,309M→17,402M(+93M)に抑制。 (予想:+750~910M)
→広告宣伝費を77M削減、労務費147M削減など。

≪指標≫

 2020.2期2021.2期 
期中平均生徒数(人)33,15930,426-8.2%

決算概要

【BS】貸借対照表

規模
9,710M→11,686Mと、12年前比1.2倍。
資産
・現預金の割合が最大だが、前期比で大きく減少した。
・前期比で無形固定資産(ソフトウェア仮勘定)が大きく増えている。
負債・純資産
・前期比で自己資本比率は低下。

【PL】損益計算書


収入
・直近の生徒数減少などにより売上高は12年前比+23%にとどまる。
支出
・売上原価は+48%。販管費は+14%。営業利益率は悪化。
・給料・手当は63%増加(正社員+平均臨時雇用人員:7,257人→12,168人で68%増)
・広告宣伝費、採用費は減少。

【CF】キャッシュフロー計算書


(比較対象)

   
イン 税引前当期純利益が多くを占める。
アウト 法人税等、配当金が多くを占める。直近は無形固定資産。

定量分析①(過去の収益性)

収益力は、減収(2020.5の休校・請求停止、在籍生徒数減少)、コスト増(コロナ対策、オンライン授業実施)により大きく悪化。

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)

 

投資負担(生徒配置システム、請求基盤システムの構築に係る無形固定資産など)が増え、本業不振で大きく減少した営業CFを上回った。

会計発生高

 
会計上の当期法人税よりCF上の前期法人税によるキャッシュアウトが大きくなり、会計発生高はプラス。

ROA

 

ROAは直近悪化。
営業利益率悪化。総資本回転率は改善。
現預金減少で資産効率改善するも、有形固定資産回転率は悪化なので利益の質にとって良くはない。

定性分析

市場の成長性が説明できるか

市場は成熟している。

競争優位性が説明できるか

・ベネッセグループであること。(ブランド、ノウハウなど)
・バイト主体で回せていることによる収益性。

その会社の成長サイクルが説明できるか

・システム投資による中小塾との差別化で生徒獲得。

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。 以下の通り、一時的に傷ついた優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高総利益率40%20%31%
売上高営業利益率20%10%3%
売上高当期純利益率10%5%1%
ROA(営業利益ベース)10%5%5%
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス大体プラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナス大体マイナス
ROA上昇維持低下
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるかできない
競争優位性が説明できるかほぼできない
その会社の成長サイクルが説明できるかほぼできない

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