【決算分析】日本エス・エイチ・エル2020.9期

日本エス・エイチ・エル

基本情報

採用や人事評価の診断ツールと人事コンサルの2本柱。マイナビと資本提携。Web版に強み(ヤフーファイナンス)

仮説検証

日本エス・エイチ・エルの2020.9期決算発表を踏まえ、仮説検証する。 

【仮説】(2019.9期時点)

前提:KPI(取引社数)の堅調増加による収益拡大
2020.9期EPS予想レンジ 136.5 ~ 150.8

【検証】(2020.9期時点)

2020.9期EPS(実績) 160.4
予想中央値からの乖離率 11.7%

≪上方乖離の理由≫
①売上高は予想下回る+1.7% (予想:+3~4%)
←コロナでWeb系好調、会場系不調。
②変動費率は13.7%→12.6% (予想:13.5%~16.5%)
(1)外注費△54M:会場関連費用減
(2)印刷費△13M:会場関連費用減
③固定費は1,286M→1,201M(△85M) (予想:+20~30M)
(1)賞与△29M:臨時賞与剥落
(2)役員報酬△24M

≪指標≫
【取引社数】 6,909(2019.9期)→7,054(2020.9期) +2.1%

決算概要

【BS】貸借対照表

規模
・2,466M→6,143Mと、11年前比2.5倍。
資産
・現預金が多い。直近では投資その他資産で長期預金が増加。
負債・純資産
・自己資本比率は高水準。

【PL】損益計算書

収入
・売上高は11年前比1.8倍。
支出
・売上原価は1.5倍。販管費は1.6倍。営業利益率上昇。
・ロイヤルティーが6.7倍に増えるも、賃借料1.3倍、役員報酬1.4倍にとどめている。

【CF】キャッシュフロー計算書





(比較対象)

残高:着実に残高が積みあがっている。
イン:税引前当期純利益のみといっていいくらい。
アウト:法人税等、配当、(自己株式取得)が多くを占める。

以下の定量分析の各指標についてはこちらを参照ください。

定量分析①(過去の収益性)

収益力はコロナによるWebシフトなどで改善し、引き続き高水準を維持。
※会場テスト→Webテストにシフトし、会場費用などが減少し粗利率改善、販管費はロイヤリティ増加も臨時賞与剥落で人件費減少。

定量分析②(将来の収益性)

FCF(フリーキャッシュフロー)

営業CFは増加傾向の一方、投資負担はほとんどない。

会計発生高

会計発生高は小幅にプラスになることがあるが、問題なし。

ROA

ROAは高水準だが少しずつ低下傾向。
営業利益率は高位安定、総資産回転率は低下するも現預金+投資有価証券の回転率低下なので問題なし。
直近では長期預金も増加。

投資の額は小さく、ROAへのインパクトは小さい。

定性分析

市場の成長性が説明できるか

景気変動を受けやすい採用市場の中でも新卒採用市場は経験者採用市場、派遣・パートといった臨時雇用市場に比し底堅い。

競争優位性が説明できるか

「玉手箱」「GAB」等のトップブランドを所有。適性テストのシェア3割程度。

その会社の成長サイクルが説明できるか

(株)マイナビ、(株)ディスコといった販売代理店28社(2万社の納入先)通じて拡販。

まとめ

最後に、それぞれの分析結果についてまとめます。
以下の通り、優良な株であることは分かりましたが、投資するには割安度の視点も必要なので改めて別記事で考え方をまとめます。
STEP①定量分析(過去の収益性)
指標基準◎基準〇当社評価
売上高粗利益率40%20%88%
売上高営業利益率20%10%47%
売上高当期純利益率10%5%32%
ROA(営業利益ベース)10%5%23%
STEP②定量分析(将来の収益性)
切り口基準◎基準〇当社評価
FCF(フリーキャッシュフロー)安定してプラス大体プラス安定してプラス
会計発生高安定してマイナス大体マイナス大体マイナス
ROA上昇維持低下
STEP③定性分析
切り口判断
市場の成長性が説明できるかややできる
競争優位性が説明できるかややできる
その会社の成長サイクルが説明できるかややできる

 

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